Street Ball

昨日から脱ぎ捨てたままにしてあるデニムを履き、上には血を流すギターが描かれたTシャツを着た。


そのTシャツを眺めてから脱ぎ捨て、ユーズド加工された、淡いピンクのTシャツを着直す。


泰二の母親なら、それなりに免疫力は有るだろうが、拭っても消えない不安が付きまとう。


まぁ、鉄も居るのだから、俺が普通に見えるとは思うけど。


それに、泰二の母親が仕事に行ってて不在かもしれないし、泰二の家から別の場所に行く事だって考えられる。


…友達の家に行くのって、以外と緊張するもんなんだな。


シンプルなクロスのネックレスに、ベージュレザーのブレスを巻いて家を出る。


元々あの二人とは学区が違う為、久しぶりの駅へと向かった。


壁に掛けられた大時計は午前十時半を刻み、幼子を連れた母親の姿が目立つ。


毎日も高校には行ってなかったけど、随分懐かしい気がした。


そんな風景を横目に、駅の入り口を通りすぎ、金網をよじ登ってホーム内に入る。