Street Ball

肌に付きまとうような空気を切り裂き、徐々にスピードを速めていく。


汗は頬から首筋へと斜め下に流れ、身体の中の不純物を外へ出しているようだ。


背中に張り付く太陽は、黒いナイロン生地を溶かしてしまいそうな程に熱い。


中に着たTシャツは吸い込めるだけ汗を吸い込み、新たな負担となって身体に張り付く。


視界には、清涼スーツを着たサラリーマンや、一足早く夏休みを迎えた大学生の姿が映っている。


俺より三度は体温が低そうだ。


普段と同じコースを走り終え、アパートの階段を上り終えて足を止めた。


肩で大きく息をしているものの、最初よりは太股に倦怠感は感じない。


少しずつではあるが、体力が戻り始めている。


本線が終わるのは秋口だから、それまでに少しでも体力が戻っている事を祈った。


そんな事を思いながら、吹き出る汗を流す為に、もう一度シャワーを浴びる。


二度とは訪れない十六歳の夏…この先にどんな事が待ち受けているのだろう。