波は疲れを忘れさせ、オフェンスの面白さに溺れさせる。


格段に上がった訳ではないが、3Pの成功率も上向きになっていった。


前半は肌が湿るだけの汗しか掻かなかったのに、後半だけで着ていたTシャツが重たく感じるようになった。


襲ってくる高波を、一人で食い止めようとした剃り込みの頑張りも有ったが、時既に遅し。


試合終了のコールが鳴り響くまで、鎖のネットが落ち着く暇はなかった。


三人でコートの中心に集まり、力強いハイタッチを交わす。


無得点のまま試合を終えてしまったニキビ面は、コートに汚い唾を吐いて出て行った。


新世チームならではの不安定な試合運びも、一試合毎に安定していき、最終的には42対55。


決勝の後半に噛み合った歯車は、確かな手応えを感じさせた。


本戦出場の最後のチームが決まった事で、ギャラリーの中から数人ずつが抜けていく。


何となく、本戦に出場するチームが見に来ていたのだと悟ったが、三人で勝ちを分かち合う方が先立った。


敗者復活戦決勝。42対55で[HEAT]の勝利。