[SB]を出て直ぐに、ポケットからスピリットを出し、ライターの火を手で覆いながら穂先を燻す。


ライターの火で明るくなった目元に、白と赤のバッシュが照らされた。


リーボックの、ライズアンドシャイン。


突起物を押して、バッシュに空気を吸い込ませる事で、紐では得られないフィット感を生み出す、リーボック独特のポンプシステム。


そのポンプシステムを搭載した、リーボックの最新モデルだ。


後ろに居る鉄と泰二の動きが、ピタリと止まった。


勝利の味を噛みしめながら吸い込んだ煙が、一気に肺を満たす。


煙を吐き出した所に居たのは、屈託無く笑うアキだった。


「…俺達に何か用?無けりゃさっさと帰りたいんだけど?」


「そんなに邪険にしないでよ。昨日は気付かなかったんだけど、翠ちゃんと付き合ってるんでしょ?悪い事したと思って謝りにきたんだからさ。」


本当に悪いと思っていたのか、甚だ疑問に思う笑顔だ。


「別に謝って貰わなくて良いからさ、其処退けてくれない?」