Street Ball

シュートを外しても、俺と鉄のどちらかがリバウンドを取る。


その安心感から、泰二が徐々にシュートモーションを取り戻してくれればと、今は祈るしかない。


「夏目、鉄、ディフェンス!」


泰二の声で先程の光景を思い出し、それぞれのマークに付いた。


背の小さい相手はドリブル中のカットがし辛く、下に気を取られている内に、スキンヘッドのセンターへパスを通されてしまった。


右に左に揺さぶりをかけ、蓮の彫り物を入れた男は右サイド下に切れていく。


スキンヘッドからのリターンパスを受けとり、左耳にぶら下げたターコイズのピアスを揺らしながら、シュートモーションに入られた。


ブロックしようと手を伸ばす俺の前に、スキンヘッドの壁が立ちふさがる。


7対2。


相手チームのオフェンスを止めなければ、どうしても点差は縮まらない。


そんな俺の焦りも空しく、試合時間を刻む時計の針は進んでいく。


結局、前半終了迄に五点差は縮まらず、23対18でハーフタイムを迎えた。