富さんの後ろに有るホワイトボードには、前二試合の結果が書かれていた。


トーナメント表は黒のマジックで描かれ、勝利チームはその上を赤のマジックでなぞられている。


「計三回か…。」


ぼそりとそう呟いたのは、泰二だった。


全八チームで争われるトーナメントは、二回勝てば決勝戦だ。


泰二の行う三回は、既に優勝する事が前提だった。


「楽勝だろ。」


そう言うと鉄は、付け足しとして鼻を鳴らした。


「ふ〜ん。初出場のくせに俺達の事は眼中に無いってか。」


背後から聞こえてきた嫌味に振り返ると、赤毛にキツメなボディパーマをかけた、細身な男が立っていた。