Street Ball

野次と叫声、そしてそれ等を覆ってしまう低音により、泰二の呟きはなんとか鼓膜に届くぐらいの声だった。


「…バスケ、してぇな。」


泰二に続いた鉄の声も、鼓膜に届く限界だった。


何も知らない大人達は、俺達を白い目で見る。


やれピアスがどうだとか、髪の色や髪型が、着崩している服装が、態度がどうだってケチを付けるだろう。


何も知らないくせに、何も知ろうとはしないくせに…。


全部クソッタレだ。


大人顔負けの体型を持つ鉄も、世の中を斜めに見ているような泰二も、今の俺の目には、ただのバスケが好きな少年にしか見えない。


暇を持て余して燻っていた毎日の中、バスケの出来る場所を見つけただけで、二人の目に何かが宿ったように見えた。