Street Ball

バスケットボール用品専門店の[SB]の隣に在るコートは、今夜も賑わいを見せていた。


金を賭けているギャラリーからの、野次や叫声。


身体から汗を滲ませ、男も女も皆コートに向かって吠えていた。


それに答えるように、フェンスの中からは多彩なコンビネーションプレイ魅せてくれている。


両手で金網を掴み、鉄は食い入るようにその光景に目を奪われていた。


初めてこの光景を目の当たりにして、興奮を隠しきれない気持ちは俺も分かる。


鉄とは対照的に、泰二は腕を組んで静かに試合の行方を見つめている。


普段は飄々としていても、こういうONとOFFの切り替えが早い泰二には、好感が持てる。


「結局、俺達からバスケを取ったら、何も残らないんだよな…。」