Street Ball

「でも、何で妹の送り迎えなんてやってんだよ?しかも、鉄達の通ってた中学からは遠いだろ?」


俺は赤錆の階段に座り、短くなってきたスピリットを肺に吸い込むと、地面に落として踏みつけた。


「親父は石材店を営んでたんだけどな、俺が中三の時っても去年か、仕事場で倒れてきた石に潰されて死んだんだ。親父が死んで会社は倒産しちまったから、お袋は夜遅くまでパートに出てる。だから少しぐらい遠くても、安い幼稚園に妹を通わせてるんだ。」


辛い事はさっさと言ってしまいたかったのか、鉄は一息で言ってしまった。


聞いてはいけない事を聞いた気がして、俺の顔は自然と下に向いていた。


思い出してみれば、泰二と話すようになったのは、大会中の昼飯時だった。


夜に仕事している俺のお袋が、試合を見に来る事は殆ど無かった。