アパートの階段下で翠と別れ、漸く起きたらしいお袋が居る茶の間を抜ける。


お袋は寝起きで機嫌が悪そうだ。


小言を言われる前に、自室に避難した方が賢い。


脱ぎ散らかしていたナイロンのセットアップに身体を包み、お袋が風呂に入ってる隙に家を出る。


早朝ランニングだけじゃ、体力を取り戻すのはキツいと判断した。


夕暮れ時で人気の多そうな郵便局迄のルートをパスし、少し離れた河川敷の方に向かって走り出す。


地面から香る青葉の匂いが、川の流れからなる風に乗って鼻先に届く。