「もしも人にこれを当てれば、即刻気を失うでしょう。しかし、当てる時間が長ければ長い程、死に至る確率は格段に上がります」
「……」
危ないからスイッチをオフにする。
電流が止まると、男はほっとしたような表情をした。
「身近にも、これと似た原理の放電現象がいくつかあります。
例えば天気が悪いと、外でごろごろ大きな音がしますよね?
あれも放電現象です。
雷と言うのは知っていると思いますが、どのような条件からあの現象が起こるのか、空で放電が起こるのか、まだこの時代の日本では分かっていません」
「……」
「後は……今の冬場だと、服を着るときにバチバチッと小さな痛みが走る事はよくあると思います。静電気と言い、これも、放電現象の一種です」
「……」
「今挙げた例は自然現象ですが、ここにあるスタンガンは人工的な物であり、雷や静電気のような放電を人間の手で起こす事が出来ます。
──未来の日本には、このような機械を作る技術があります」

