闇ノ花





男は眉をぴくりと動かし、同時に山崎が私よりも少し前に移動した。





「いや、待て待て待て……。お前本気で言ってるのか?」


「本当です。でも、嘘だと思うのなら信じなくてもいいです」


「信じるわけがないだろ!てめぇ、いつまでふざけてる気だ⁉叩っ斬るぞ⁉」





男はそう言うなり、カチャッと刀に手を当てる。


……斬られてもこれは仕方ないと思う。


普通信じないよ。


だから、何で山崎が信じているような素振りを見せているのか、かなり疑問だ。





「小松、あれを出せ」





山崎がそっと私に言ってきた。


あれとは、スタンガンの事だろう。


ポケットから黒い塊を取り出す。


それを見た男は、さらに難しい顔をして、ようやく刀から手を離した。