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「情報は一つもなし、か」
部屋に入ると、この間の男が困ったように頭をかいていた。
あの貫禄のある男は今日はいない。
山崎は、この間と同じように私の後ろに座っていて、金平糖をくれた男は私をここに連れてくるなりどこかに行ってしまった。
「……山崎。本当にないのか」
「はい」
ふと、山崎の視線を背中に感じた。
……今言った方がいいのだろうか。
男の視線も私に注がれる。
信じてくれるわけない……だけど、いつかは言わないと、ここから出してはもらえない。
「私は……未来から来ました」
正直な言葉が、私の口からスッと出る。

