闇ノ花





「や、山崎!本、絶対に完成させようね!絶対だよ!」


「……そうだな」





って、そう言いながら山崎は鼻で笑っている。


何だかムカつくけど、そんな事も嬉しかったり、楽しかったり……。


顔を赤らめながら、山崎の隣を歩いた。


ふわりと風が吹いて、上を見上げる。


そこには、みんなと同じ色の空が広がっていた。


みんな……本当にありがとう。


一つ一つ、しっかりと場所を回りながら……私と山崎で、新撰組がやってきた事を、文字に著します。


どう死んだか、なんて関係ない。


みんながどう生きたか、この時代にどう在ったのか──。


……まだ、みんなの事を守れるはずだから。


私は……みんなの“軌跡”を守るって、決めたんだ。


みんなの事、ちゃんと未来に伝えます。





「芳乃。何があっても、側にいるから」


「うん!山崎が離れたいって言っても、私が離さないからね!」


「……好きだ」


「……!」





かあっと、また顔が熱くなる。


それを隠しながら、山崎の後ろ姿を追いかけた。


……山崎と一緒に、必ず、未来に繋げるから。


花とみんなの誠は、ずっとずっと、咲き続けるから……。


──この、光る浅葱色の空の下で。







「闇ノ花」-完-