そして自分の体を、銃がある方向に向ける。 弾が山崎に当たらないように。 この人だけは、絶対に死なせたくないから……。 ──パァンッ! 銃声が、響いた。 一瞬時が止まった。 だけど……。 いつまで経っても、覚悟していた痛みは来なかった。 抱きついている山崎の体は、暖かい。 それなら……まさか……。 恐る恐る、目を開く。 後ろを振り返ると……地面に崩れ落ちていく、人。 ……涙が、これまでにないくらい、溢れ出てきた。