「芳乃、儂らはもう行こう」 「う、うん……」 私達は踵を返して、撤退しようとした。 ──だけど。 誰かの気配を感じて……足を止める。 「待って、お爺ちゃん……」 「ん?どうしたんじゃ?」 辺りを見回す。 何度見回しても……木だけで。 そして遠くからは、銃声の音。 だけど……目を凝らして、ようやく見つけた。 少し離れた場所にある、人影を。 ──山崎の姿を。