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縄は外にぶら下げたまま、私は山崎の部屋に足を踏み入れた。
夜だから、蝋燭の明かりだけが灯っている。
隅に、一つだけ机が置いてある質素な部屋。
そして……真ん中に布団を敷いて、寝息を立てている山崎。
そんな幻覚が見えたような気がしたけど、今は戦だから、それはみんな消えていった。
実際は、ぼろぼろの部屋の隅で、寒さから身を守るように小さくなって眠っている山崎がいるだけだ。
だけど……懐かしいな。
私も、ここで過ごしていた時があったんだ……。
「──誰だ」
その時、一瞬で視界がぐるっと変わった。
私はいきなり腕を捕まれ、畳に倒されてしまった。
山崎、流石だね……寝ていても、誰かがいるというのが簡単に分かってしまうんだ。

