「ちゃんと見張らないと、私、何するか分かりませんよ?逃げてもいいんですか?」 「駄目!」 扉越しに静かに声をかけると、私の声量の何倍もの大きさで返事が返ってきた。 思わず、軽く耳をふさぐ。 「あー……寝ちゃった」 すると、向こうにいる人は、そう悔しそうな声を上げた。 「よく分かったね。僕がここにいるって」 「だって、明らかに気配がありましたし……」 そう私が言った途端、ぐう……と低い音が響いた。 この時代に来てから何も食べていない。 いい加減限界だ。