しばらくすると、騒ぎが止み……静寂が漂った。
『じゃあ、もう行くから』
『……母様と父様はどうなったの?』
『とにかく……お前は、気を付けろ』
男の子は踵を返して、どこかに行ってしまった。
それから、私は部屋に戻っていった。
さっきまで四人で寝ていた場所には……真っ赤な血だまりが広がっていた。
そこに転がっている、二人の人間の亡骸。
『……母様?父様?』
私のお母さんは……苦無を両手に持ったまま、倒れていて。
お父さんも、刀を握ったまま倒れていて。
……その二人の目が、再び開く事はなかった。
だけど、この時の私は……目の前に広がる光景に、泣きわめき、体を震わせている事しか出来なかった。

