「裏に玄関がある。夜になったら、そこの一番近い部屋に行け。その部屋についている小さな扉から、外の様子が見えるはずだから、もしも斎藤が来たらそこから聞いて、すぐ俺に知らせろ」
「はい」
「それから、この任務はお前だけに頼んだわけじゃねぇ。山崎にも頼んである」
「……」
そっか、山崎もか……。
「お前一人で背負うと体を壊しちまう。だから、山崎と分担してやってくれ。分かったな?」
「……はい、分かりました」
避けては通れない……あんな事があったとしても、いずれは山崎と話をする時がくる。
逃げてばかりはいけないんだ。
だけど、これは仕事だ。
山崎の事は考えないで集中しよう。
夜になると私はさっそく、任務遂行の為にその部屋へと向かった。

