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それからまた私は土蔵に戻り、目の前には山崎が立った。
すると、山崎は突然、静かな口調で私にこう聞いてきた。
「小松家は、まだ存在していたのか」
「え……?」
質問の意味が分からなくなり、私は何も言葉を発する事が出来なかった。
どういう事だろう。
何で山崎は、こんな事を聞くんだろう。
だって……。
「……いや、何でもない。今のは忘れろ」
私が深く考え始める前に、山崎はそう切り捨てた。
でもやっぱり、私の頭の中は、このことでいっぱいだった。
──タイムスリップ。
本当に、幕末の時代に飛んできてしまったのか。

