「せめて、名前を教えなさい」 この人は何だか、山崎やそこの男と違って、何か大きな物を背負っているからなのか……すごく貫禄のある男だった。 だから多分、この人が一番偉い人なのかな。 「小松芳乃です」 「そうか。君が早くここから出られるように俺もしたいと思っているから、安心しなさい。 ……じゃあ山崎、小松さんの情報集め、よろしく頼む」 この男がそう言うと、山崎は小さく頷き、私達は部屋から出た。