さっきのままだったら、絶対に明日は風邪を引いていた。 電気のないこの時代、部屋を照らしているのは、土方さんの机の上に乗っている一本の蝋燭だけだった。 「その蝋燭、綺麗ですね」 「ん?そうか?」 布団から顔を出して、そう言う。 その蝋燭の白い部分には、ピンクや黄色の小さな花が描かれていた。 「会津の絵蝋燭だ。この間巡察をしている時、浪士の連中に絡まれていた男が、会津の者で……そいつが、礼にとくれた」 「そうだったんですか?」 「あぁ。長く使えるからなかなかいい蝋燭だ」