闇ノ花





それに、私が泣いている時に背中を押してくれたのは……紛れもなく、山崎だった。





「俺、先に戻るな」





そう言いながら、私に背を向けた山崎。





“伝えないより、伝えた方がいいでしょ?”





ふと、そんな美祢さんの声が脳裏に蘇ってくる。


もう広間に戻ろうとしている山崎を追い掛けて、その袖を、思わず掴んでしまった。


あの時みたいな状況に、山崎も驚いたような表情を浮かべる。





「どうした」


「……きです」


「……?」


「山崎が、好きです……」