「わ、私、歴史とかそんなに詳しくないよ?」
「違う、そうじゃない。未来は、どんなところだ」
あぁ、そういう事か。
てっきり、これからの日本がどうなるのかっていう、真面目な話かと思った。
「うーん、平和で、それから物が豊富で、この時代よりはかなり便利になってるかな……。学校もみんな通えて、自由に将来を決められる時代……それが、私がいた所」
「……平和…」
「そう。未来の日本には、戦争がないの」
復唱する山崎に、もう少し詳しく説明する。
「だけど私は……戦争がなくなった代わりに、私も他の人も、みんな忘れ物をしている気がするの」
「……忘れ物?」
「うん。大切な物だよ。だけど、それを探そうとする人が少なくて……。表面上は平和。でも、貧しくなっている部分もある」

