「お願いします」




もう一度、そう言いながら。


一瞬、静寂が漂った。


緊張して、鼓動が速くなっていく。


しかし……ぽん、と頭に淡い温もりを感じ、その速度は緩んでいった。





「そうか。それが……お前の誠か」





え……?


ゆっくりと顔を上げる。





「その言葉が、聞きたかった」





するとそこには、あまり見る事がない、土方さんの微笑みがあった。





「──小松芳乃、監察方につく事を命ずる」





歓喜と感激で、じわりと、目に涙が滲む。





「ありがとうございます……!」





私はそう言って、再び頭を下げた。