「山南さん。小松です」 部屋の前まで来て、他の隊士が起きないよう小声で声をかける。 だけど、中から返事はなかった。 ……寝ているのかな? そう思い、引き返そうと踵を返す。 しかし私は、何かが違うと思って、再び部屋の前に戻った。 「……山南さん?」 ──何故なら、部屋の中から誰の気配も感じ取れなかったから。 勝手に入ったら駄目かな。 そうは思いつつも、カラッと障子を開ける。 すると、視界に飛び込んできたのは、埃がない綺麗な部屋。 土方さんと大違いだ。