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「芳乃(よしの)ーーっ!」





スパーンッ!と思い切り襖が開かれる。


私はそれを無視し、赤色の袴を着た。


襖の前には、鬼のような形相をしたお爺ちゃんが仁王立ちで立っていた。





「お前……お前は、何度言えば分かるんじゃ!」


「何のこと?」


「と、惚けるな!いつも言っておるじゃろ、お前は……っ」


「“お前はこの神社の跡取り娘だ”って。そう言いたいんでしょ?」


「分かっとるのなら話は早いわっ、さっきテレビでやっておったぞ!

“再び男が何者かに殺される、これも花姫か⁉”

……とな!最近の世の中はもうこの話題で持ちきりではないか!警察も直に出回るらしいじゃないか⁉」





赤い袴を着ると、小さくため息をつき、今度は腰まである長い髪の毛を下の方にゆるくまとめる。