もしかして山崎、私の気分転換の為にわざわざやってくれたのかな。
お茶の量はそこまで多くないから、五回くらいで飲み終わる。
茶道……私、実は裏千家という流派でやった事があるんだ。
家がまず神社で、お爺ちゃんも私に茶道とか華道とか色々教えてきた。
だから、お点前というお茶を点てるまでの一連の動作を、まだ覚えているかもしれない。
「山崎、私、お点前やってみていい?」
「……出来るのか」
「任せてー」
私が自信満々にそう言うと、山崎は微かに笑いながら、部屋を出た。
本当に、茶道は久しぶりだ。
……ていうか、ここに茶道の道具なんかあるのかな?
もしかしたら台所にあるのかもしれない。

