闇ノ花





でも、さっきから思ってたんだけど……。


ここは、京都……?


私が住んでいるのは、東京のはず。


だけど視線を下に向けると、何人か人が歩いていて……。


その人たちは皆、色とりどりの着物を着て、髪を高い位置に結って。


それに、なんか古い雰囲気の空気が感じられるのは気のせい?


この街が明るく照らされているのは、月に加えて、通行人一人一人が提灯を持っているからだった。


……提灯?


何故、提灯?


あれ……電信柱は?


きょろきょろと見回し、さらに疑問符が点々と脳内に増えていく。


なんか……時代劇みたいなんだけど……。





「……小松流か、お前」





いきなり、奴がそう呟いたから、私は驚いて顔を上げた。