刀が目の前まで迫ったのが見えた。
私は間一髪でそれを避け、畳に転がる。
そして、転がりながら吉田さんに向かって苦無を投げつけた。
しかし──。
「お前の負けだ」
吉田さんは私の体を押さえ付け、刀をまた振り上げる。
あぁ、もうダメなのかな……?
そう思い、目を瞑った。
その時。
ヒュンッ!と、風を切る音がする。
同時に何かが転がる音。
目を開くと、いつの間にか、吉田さんの手から刀が消えていた。
そして、視線を横にずらすと、忍装束を着て苦無を構える一人の男。
その男は、隙が出来た吉田さんにまた苦無を投げる。

