とりあえず、一室の部屋に入った。 ……その時だった。 「加代?」 そう、聞き覚えのある声が聞こえてきたのは。 目を凝らすと…… 「……吉田さん」 着物を買った時、しつこく私に絡んできた吉田さんがいたのだ。 驚きを隠せない……だけど、この人も長州なんだ。 「へえ。お前、新撰組だったんだ」 「……」 何も答えずに、苦無を投げつける。 それは避けられて、後ろの壁に刺さった。