その苦無に足を置き、上に向かってどんどん刺していく。 それを登っていって、山崎は天井の板を一枚外した。 天井裏に入り、山崎の姿は一旦消える。 これは天井裏から監視をする為の行動だったのだ。 山崎は顔を出して、私と目線を合わせた。 「ついて来い」 私は静かに頷いて、山崎と同じように、苦無を使って天井裏まで行った。 そして、山崎の後ろを這うように進んだ。 ──歴史を揺るがす事件は、もう既に始まっていた。