私もつられて手を振り返す。 だから、加代って何なの⁉ そんな事を考えていると、山崎は無言で私を引っ張り、路地裏に入っていった。 その途端…… 「アホ」 「いたっ、ちょっと何で叩くの⁉」 「うるさい。静かにしろ」 山崎にベシッと頭を軽く叩かれた。 思わず片手で頭を押さえる。 「監察方である事を忘れるな。今、見ず知らずの男に名前を教えようとしただろう」 「何で教えちゃダメなの?……あ、そっか」 やっと納得する。