声の主の顔を見ると、やっぱり山崎だった。
黒い着流しを着て、頭には笠を被っている。
まさに、旅人の格好だ。
……もしかして、監視をしていたのかな?
ていうか、加代って何?誰?
私、加代じゃないんだけど……。
すると、吉田さんが山崎に話しかける。
「お前、こいつの連れか?」
「そうだ。悪かったな、こいつ道に迷う事がよくあるんだ」
「あー、そっかそっか。じゃあ俺、もう行った方がいいよな」
「あぁ。こいつが世話になったな」
山崎がそう言うと、吉田さんは私に軽く手を振った。
「じゃあ、またな!加代!」
「へ?はい。また……」

