──
───
────
庭に出ると、少しだけ涼しい風が私を包んだ。
……あ、木がある。
まだ咲いてないけど、桜かな?
頭がぼーっとしながら、ふらふらとした足取りで私はその木に近付いた。
お酒って結構キツイんだ……。
木に寄っかかって、ぼーっと宙を見つめる。
ふと空を見上げてみると、ぼんやりと月が見えた。
……お母さん、お父さん。
月を見ると、何故か二人が頭に浮かぶ。
必ず、復讐するから。
小松家は強いんだって、証明するから。
だけど……。
「……お母さん、お父さん」
一人は、寂しい。
会いたい。
今だけ……泣かせて。
瞼を閉じると、私はそのまま意識を手放した。

