口ごもりながらも納得のいかぬムサシに対し、
「ムサシさま。あなたさまの剣術は、ムサシさまならではのものでございます。
並みのお侍では、ご無理でございましょう。
宍戸梅軒さまとの試合において、お刀を投げ捨てられたとか。武士の魂であるお刀を…。
そして吉岡一門との決闘における二刀流然り、更には此度の木剣然り。
戦国の世ならばいざ知らず、太平の世に向かいつつあるこのご時世でごさいます。お察しくださいませ。」
と、番頭が告げた。
「いやしかし…佐々木小次郎を倒せば良いのではなかったのか…ならば、どうすれば良かったのか…。
あの浜に戻れというのか! ごんすけに戻れと言うのか。
またしても『南蛮人! 南蛮人!』と後ろ指を差されねばならぬのか…」
頭を下げて木戸内に入る番頭に対し、恨み辛みをどれ程並べようとも致し方なきこと。
袖に入れられた小判数枚の音が、虚しくムサシの耳に響いた。
「ムサシさま。あなたさまの剣術は、ムサシさまならではのものでございます。
並みのお侍では、ご無理でございましょう。
宍戸梅軒さまとの試合において、お刀を投げ捨てられたとか。武士の魂であるお刀を…。
そして吉岡一門との決闘における二刀流然り、更には此度の木剣然り。
戦国の世ならばいざ知らず、太平の世に向かいつつあるこのご時世でごさいます。お察しくださいませ。」
と、番頭が告げた。
「いやしかし…佐々木小次郎を倒せば良いのではなかったのか…ならば、どうすれば良かったのか…。
あの浜に戻れというのか! ごんすけに戻れと言うのか。
またしても『南蛮人! 南蛮人!』と後ろ指を差されねばならぬのか…」
頭を下げて木戸内に入る番頭に対し、恨み辛みをどれ程並べようとも致し方なきこと。
袖に入れられた小判数枚の音が、虚しくムサシの耳に響いた。


