信じられないほど、心臓がドクンッとなった。
何か付いてる?と唇を拭う愛羅に、俺は普通の幼馴染みという関係に違和感がある事がはっかりわかった。
あれ… 俺は… こいつを可愛いと思ってないか?いつも隣にいるのに、なんで今思うんだ?
「 ごちそうさまでした!」
愛羅の一声にハッと我にかえる。
「 ねぇ淳利のファーストキスはいつ?誰としたの?」
はぁ?またそんな事聞いてどうすんだよ、知るかよ…
「 ほっとけよ、行くぞ 」
「 覚えてないよね… 」
愛羅の声が小さくて聞き取れず首を傾げると、ううん。と席を立つ愛羅。
自宅に戻り、俺はベッドに転がった。
天井を見つめてから目を閉じていると、足音が聞こえる。
母親の足音ではない、つまり愛羅の足音だ。
毎日の事だから、階段を上がる音で大体は検討がつく。
俺は寝たふりをしていた。
「 淳利… 寝たんだ、つまんないの… 寝てたらわかるわけないか… 」
何の事だ?さっぱりわかんねぇ
キシッと俺の脇腹辺りが少し沈み、愛羅が座っているのが分かる。
そこでなにしてんだ?俺が寝たと思って見てんのか?
沈んでいた腰元がフッと軽くなり、部屋を出ていくものだとばかり思った時。
――っ!!
俺の唇に、柔らかな感触と顔に触れる愛羅の髪。
マジで… 愛羅が俺にキス、してる?
バチっと目を開けそうだった。
「 また、覚えてないね。 淳利… おやすみ 」
パタンとドアが締まり、俺は飛び起きた。
「 今の、なにっ!なんで愛羅が俺にキスすんだ?」
俺はパニックになっていた。
ただ、ひとつだけわかった事はある。
図書館で感じたもの、あれは 寝ている俺にキスした愛羅だ。

