なんだ、あれ…
やけに必死だな…


その女を何となく目で追っていると、女は駆け上がりながら何かを確かめ、上を見上げては足元を見て上がってくる。

俺はずっと見ていた。

そして女が上を向いた時だった。
バチっと視線がぶつかった。

あ… 見た。

「 待って!」

え? なに、俺? まさかな…

左右を見渡しても立っているのは俺だけで、回りはみんな通りすぎていく。
あと、数段の所まで来た女が突然、邪魔に感じたのが長い髪を結んでいたシュシュらしき物を取った時、髪はサラサラと降りていく。

髪キレイだな… 可愛いし…

気をとられていると、真ん前に来た女が息を切らして立っていた、そして俺にまっすぐ言った。

「 つかまえたっ!」

「 は? あの… 俺?」

頷く女を見てみると制服を着ている。

何だよ、逆ナンか?

そんな事を勝手に想像していると、彼女は はい!と何かを差し出した。

「 あ!俺の… 定期じゃん」

なんで、持ってんだ?
んで、君は誰…