毎朝の窮屈な電車で学校へ行き、帰りはダラダラと座って帰ってくる俺。

宮岡 郁斗、17歳だが彼女ナシで普通に生活出来ている。
不満はないが平凡すぎてつまらない。

乗る車両を変えてみても大概は見知った顔があるだけだった。

ある日俺はバスケで遅くなり、電車を一本逃してしまった。
まぁこんなんもあるよな… と思いながらホームにぼうっと立って電車を待つ。

運悪く会社員たちの帰宅ラッシュにはまって窮屈な時間をなんとか乗り切り、疲れた感いっぱいに電車を追われるように降りて流されないように改札を通り階段を上がるが、降りてきた奴と鞄がぶつかってしまい 鞄が弾かれた。

チッ。

ほんとに小さく舌を鳴らして階段を上がると ざわめく後ろから声が聞こえた。

「 待って!止まって… 待って!」

何となく気になり階段を上がりきった所で振り返ってみた。

階段を見ると、流れる人波の中で人を掻き分けるように必死に駆け上がろうとしている女がいた。