《完結》アーサ王子の君影草 上巻 ~忘れられた庭に咲く誓い~

「殿下。ではそろそろ……」

 ジェルマーノがメルティオールの耳元で何かを囁いた。

「ああ、頼む。フッ…。オマエの側近に心カラ同情スル。オメデタイ主の元に付くのは容易ではナイ。全くもってバカバカしいカラやめてヤル」

「やめる…? 何を…」

「帰る。今回は大人シク退いてヤルと言ってイル…」

「っ! じゃあ…」

「スズランと言う娘のコトを諦めたワケではナイ。今回は一度退くダケだ! ……それに、コレ以上ミリアに心配カケたくナイカラな…」

 メルティオールの声は最後の方になるにつれ早口で聞き取りづらくなったが、確かにラインアーサの耳に届いた。

「っ…メルテ! ありがとう!!」

「フンッ……知るモノか!」

 ジェルマーノが素早く床に陣を敷く。術封じが解かれたのか、おそらく空間移動の魔像術(ディアロス)であろうその複雑な陣を見入る。

「殿下、急いで皇宮へ戻りましょう…」

「ワカってイル、そう急かすなジェル。ああ、ソコの小物二人組の処分は任せる。コチラは唯のコマを利用シタに過ぎナイ…」

「…っオイ、ふざけるな!! 俺たちの事馬鹿にするなよ!!」

 話題に出され我に返ったのか、例の二人組が暴れ出した。