「……は…? ローゼン…って、、じょ、冗談言うなよ……だって、そんな訳あるかよ!!」

「こんな時に冗談言うほど暇じゃあない。ライアという名は通称の様なものだ」

「ほ、本気で言ってるのか? あんた、いや…。本当に、アーサ王子…、なのか? ……急にそんな事言われて誰が信じるんだよ!」

「……それじゃあ、今まで通りの態度で構わないから聞いてくれ」

「…っ…だったら、何でスズなんだよ! それこそあんたの相手なんかいくらでも居る筈だろ?」

「……俺はスズランだけだ」

「あ、あんたが王子だって証拠はあるのかよ…」

 急な話にセィシェルが食い下がる。

「別に信じてもらえないならそれでいい。俺は身分関係なく、ただ一人の男としてスズランに想いを伝えたい。それだけだ」

「一体、何なんだよ……何でこの国の王子なんかがこんな所にいるんだよ…っ! なっ? まさか親父はこの事知ってて…」

「ああ。マスターには初めから気づかれていたな」

「っ…!! 親父の奴、知ってたんなら一言教えてくれたって……じゃ、じゃあスズは?」

「スズランは知らない。マスターには俺が口止めしてたんだ、悪かったな」

 ラインアーサは軽く頭を下げた。