「……?」

「っ……」

 今まで黙っていた事の罪悪感に押し潰されそうだった。それに加え嫌われてしまいそうで迷いが出る。

「……ライア…?」

 少し身体を離すとスズランが不思議そうな眼差しを向けてくる。
 嫌われても仕方がない。それでもこのまま嘘を吐き続けるよりはずっといい筈だ。

「……スズラン。俺は…」

 決心したその時、勢い良く酒場(バル)の裏口が開き慌てた様子のセィシェルとユージーンが現れた。

「スズッ!? そこに居るのはスズか?」

「マスター! ……セィシェル…! ごめんなさい! わたし、一人で勝手に居なくなったりして…」

 表情を強張らせたセィシェルが駆け寄ってくる。そして勢いよくラインアーサの胸ぐらを掴んだ。

「おいっ!! なんであんたが一緒にいる!? あんたやっぱり人攫いなんじゃあないだろうな!!」

「やめなさい! セィシェル…!! そのお方は…」

「やめて! ちがうの…!! わたしが勝手にライアの所に行ったの…! ライアはわたしをここまで送ってくれただけで全然悪くないの!!」

「っ…スズ、その服はどうしたんだよ!」

「こ、これは雨で濡れたからライアに着替えを頂いて…」