身体が密着し、これ以上ない程に鼓動が早まる。
 照明を落とし静まり返った広い部屋では、心臓の音がやけに大きく聞こえる気がする。この音がスズランにまで聞こえやしないかと心配になった。
 ラインアーサの身体にすっぽりと収まってしまう華奢な身体。だが柔らかく女性特有の丸みを帯びた曲線を素肌で感じ、鼓動はますます激しくなってゆく。

 気がつくとスズランは何とも居心地の悪そうに身動ぎをしている。寒いのか、それとも……。

「嫌だったらすぐに言えよ。俺は…」

「……ライアが、嫌じゃなければわたしは平気」

「なんだよそれ…」

 ───つまり。
 嫌では無いと言う事だろうか?
 それともただ単に異性として見られていないだけなのか。ラインアーサの理性は既に限界を迎えそうだ。それを誤魔化す為、無理矢理スズランに話題を振る。

「スズランは男とこうして眠るの、嫌じゃあないのか?」

「え? ……うん。懐かしい、かな」

「なっ、懐かしい!?」

 その返答に酷く衝撃を受けた。まさか男とこうして一つのベッドに入るのは初めてでは無いと言う事なのか?

「……昔よく、セィシェルにこうしてもらってたの」

「あ、あの野郎…っ」