「お前ちょっとは歯向かえよ! マジつまんねェの!!」



そんな罵りと共に、背中を思い切り蹴られて、僕は呻いた。



いつもと同じ日常。それでも この痛みに慣れる事は、決して無い。



それでも僕が抵抗する事は、絶対に無い。抵抗しても無駄だと気付いたのは、いつの事だっただろう。



僕は、虐められている。



けれど、それは仕方の無い事だと、諦めてしまったんだ。



僕は生まれ付き魔法が弱くて、龍族の恥だと いつも言われて来た。



だから、周りに受け入れて貰えないのは、当然なんだ。



数人の男の子達の蹴りが、頭を守る僕の背中や お腹に入る。



必死に悲鳴を堪えて、耐えていた時。



「こら! また やってるの!?」



聞き慣れた声が聞こえて、その瞬間、暴力が止んだ。



「やっべ、リホが来たぞ!」


「早く走れって!」



騒ぎながら走って行く男の子達の声を聞き、僕は ゆっくりと顔を上げた。



其処に居たのは、予想通り、フェニックス族の少女だった。



彼女に向かって、小さく微笑んで見せる。



「リホちゃん……また助けてくれたんだ……ありがと。」