「レイム、お兄ちゃんと一緒に、此処から出なさい。お兄ちゃんの言う事を、良く聞くのよ。」



次いで、お母さんは お兄ちゃんを見上げた。



「ルーヴ、レイムを、守るのよ。」


「…………っ。」



お兄ちゃんは何かを言おうとして、歯を喰い縛って、1つ頷いた。



「行くぞ、レイム!」



部屋の扉を開けて廊下に飛び出した お兄ちゃんに手を引かれ、うちは走った。



直ぐ近くに在った窓を、お兄ちゃんが蹴り破る。血が滴るのも構わずに、お兄ちゃんは窓の縁に足を掛けると、うちを抱き上げた。



「レイム、しっかり掴まっていて。」



お兄ちゃんは うちを抱き締めて、窓から飛び出し、翼を広げた。



地面に降り立った後、消火に来たウンディーネ族の人達に、うちは必死に言い募ったんだけれど、結局 見付かったのは、焼け焦げた遺体だった。



天界に帰った うち等に向けられたのは哀れみの目。



それが嫌で、うちは明るく振る舞うよう努力した。



うち等は、可哀想な子達なんかじゃない。



認めてしまったら、もう駄目な気がした。