皆より早い時間に、あたしは帰宅する。早く家に帰って、特訓しなきゃ いけないから。
家へと続く道を歩いていると、見慣れた姿を見付けた。
「リホじゃん。何してんの?」
「あ、ウィン。」
あたしより1つ歳上のリホは、近所に住む幼馴染み。あたしと同じで魔法が とっても強いんだけど、何故か村の子供達には恐れられている。
何で皆は、あたしとは仲良くしてくれるのに、リホの事は嫌うんだろう。
「お母さんに頼まれて、お買い物。」
そう言ってリホは、綺麗な顔に笑みを浮かべた。
「ふぅん。」
「ウィンは帰るとこ?」
「うん。これから特訓なんだ。」
「そう……頑張ってね。」
一瞬だけ、リホの表情が暗くなった気が した。でも直ぐに、その面影は消える。
「……じゃあね。」
「じゃあな!」
リホと別れて、あたしは帰宅する。
これから始まる、辛い時間。
でも、あたしは。
強くなりたいんだ。