「ぎゃああぁっ!! ウィンが来たぞぉ!!」



あたしの姿を見て逃げ惑う、同じ村に住む子達。



嫌われてる訳じゃない。その証拠に皆 笑いながら逃げて行く。



皆の中で1番 速く翔べるのは あたしだから、鬼ごっこで あたしが鬼に なると、皆は笑いながらも必死に走る。



「つっかまぇたぁっ!」



直ぐ目の前を走っていた友達の肩を ぽんと叩くと、彼は諦めたように ふっと笑って、あたしと一緒に皆を追い掛け回す。



毎日、こうやって皆と遊んでる。笑ってる。



でも、あたし、ほんとは寂しいんだ。



村の子供達の中で、将来を有望されてる あたし。魔法が強い、戦えるって事は、この世界じゃ とっても大事な事だから。



村に伝わる予言。それが実現した時、自分の身を守れるくらいには強くなってて欲しいって、どの子の親も願ってる。



だから あたしに掛かる両親からの期待も大きくて。



家に帰れば待っているのは、魔法の特訓。躰が悲鳴を上げる迄、やるんだ。



あたしも、皆みたいに無邪気に遊んでいたい。



でも、大切な友達を護る為に、強く なりたい。



小さな あたしの中に生まれた、大きな葛藤。



それを見ないようにして、遊べる時は思いっ切り遊ぶんだ。