頭1コ分くらい違ったのに、今少し下くらいだし。

 何か目線、近い…。


「ほら、行くぞ」


 あたしの手首を掴んで先を歩く光。

 名前も知らない人、すいません!

 あたしには、このメンバーが大切だから…。


「っ…諦めないぞ、AIKAを必ず…!」


 そう言いつつ携帯を操作して電話をかける。

 数コール後出た相手に結果報告をした。


「…はい、それで社長。
 The wingを入れるのは…え、だめですか。
 予算…いやしかし、え、それはちょっと…!
 …わかりました」


 いい結果の出ない現実に、ため息を吐いた。

 けれど、


「諦められないんだよなぁ…あの声」


 その呟きは、誰の耳にも拾われることはなかった。