「ごめん、涼…」

「うぅん、いいよ☆」

「…ありがと」

「いーえっ!」


 涼はあたしが泣き止むまでずっと、手を握っていてくれた。

 言葉はないけど、1人じゃないよって言ってくれてるみたいだった。

 …涼が友だちで良かった。

 …でも、涼には…なおにぃのことは言えない。

 The wingのメンバーにだけは、知られちゃダメ。

 …大切な人にほど言っちゃいけない。


「瀬戸さん、目が覚めた?」

「あ、はい」


 カーテンが引かれて、保健室の先生が顔を出す。


「具合が悪いのなら早退してもいいけど、どうする?」


 ん〜…早退していいんなら早退しようかなぁ。

 光と顔合わせづらいし。

 光の性格からして、絶対気にして来るはずだもん。


「じゃあ早退します」

「そう、1人で帰れる?
 送ろうか?」